あなたが持つととっても強く見える。
それでいて本来のイメージ通り可愛らしくて。
それが何だかわかるかな。
推理してみてよ。
「おはよう、うさみちゃん」
いつも通りの時間に教室に入ると、まずうさみちゃんが目に入る。
今日もうさみちゃんは長い三つあみを静かに垂らしている。さもつまらなそうに頬杖をついて、クマ吉君を見ては悪態をつくのだ。
その一見毒気のある姿も、強さの表れなのだと認識している。
私の声に気付いて、うさみちゃんは振り返った。
つまらなそうな顔は健在だけれど少し笑って、おはようと呟く彼女。
私も穏やかに笑って返して、私は自分の席に鞄を下ろす。
「……あら、」
ニャン美ちゃん。
そう呼ばれて、振り返る。
すると席を離れて私に歩み寄ってくるではないか。
「今日、寝坊した?リボンの形崩れてる」
私の頭に細い指がかかる。砂糖菓子みたいに白くて細いうさみちゃんの指だった。
私は目を伏せながらうさみちゃんの指を払おうとする仕草を見せた。
「やだ、恥ずかしい」
「頭貸して。やってあげる」
ついにうさみちゃんは両手を伸ばして私のリボンを解く。
適当な蝶結びはあっけなく解かれて一つの線になった。そして私の髪の毛を少量掴み、それを巻く。
猫っ毛の私の髪が、うさみちゃんの指に緩く絡む。それを知覚すると、思わず笑みが零れた。
一度巻いて、形を整えて、縛って、完成。
「どうかしら」
うさみちゃんが取り出した携帯用の鏡で出来栄えを確認する。
いつも通りの私の頭だった。
「ありがとう。すごく素敵」
「素敵って、普段のニャン美ちゃんの結び方通りなんだけど」
「うさみちゃんがやってくれたから、素敵なの」
控えめに歯を見せて笑うと、うさみちゃんは一瞬目を泳がせた。不意な誉め言葉にうさみちゃんは弱い。素の照れている姿は非常に可愛らしい。うさみちゃんは照れ隠しでもう、と強く発した。
「やめて、そういうの」
「ごめんね、次から気をつけるわ」
私の心中を察したのだろう、うさみちゃんは溜息をつく。
息を吐ききって真っ直ぐ私を捉えられるようになったうさみちゃんは、また一つあることに気付いたようだった。
「ニャン美ちゃん、今日はリボンの色が違うのね。どうかしたの?」
私の今日のリボンはピンク色。
やっと気付いてくれたうさみちゃんに、私は今出来る極上の笑顔を向けてみた。
「推理してみてよ」
もっとも、リボンの乱れの理由も推理できないあなたじゃきっと辿りつけやしないけど。
(きっとあなたは最初に彼を呼ぶんだわ)
2010.02.01
2012.01.30 加筆・修正。